そもそもインチアップって何?
インチアップとは車のタイヤの全体の大きさ、つまり外径は一切変えずに中のホイールのリム径を大きくすることを言います。
車の車輪というのは、その性能に及ぼす影響が大変大きいです。
そのため、保安基準が設けられていて、その範囲内で行わなければなりません。
むやみに改造をした場合「道路運送車両法外」となり、取締の対象になってしまう可能性があります。
インチアップを行う際はまず、タイヤにかかる負荷能力の数値と車の幅、車体枠からはみ出ていないかを見ます。
それから本体とタイヤの接触がないかなどを注意する必要があります。
そこまでの細かな部分を警察が見極めるのはたしかに至難の業ですが、いずれにしてもこれらに違反したら車検に通らないので乗れなくなってしまいます。
インチアップする理由は?
インチアップをする最大の理由は、やはり外観のかっこよさです。
特にスポーツカーなどは、リム径を大きくすることで走行中の存在感がぐっと増します。
だったら外径まで変えて、もっとカッコイイものにすれば良いではないかと思われるかもしれませんが、そう簡単ではありません。
車というのは数え切れないほどのいくつもの小さな部品で組み立てられています。
それらの計算は、規定されたサイズに合わせて導き出されて作られているので、車輪全体の大きさを変えてしまうと性能に悪影響を及ぼします。
それがトラブルの原因で、故障しやすくなったりするわけです。
車そのものになるべき影響のない範囲での最大限のオシャレ、というのがインチアップの大きな理由のひとつとなるでしょう。
ホイールの影響なの?タイヤの影響なの?
車の乗り心地や性能、外観を考えてインチアップを検討している人は、ある程度車輪の知識を入れておくに越したことはありません。
車輪とひとことにいっても、幾つかの要素が組み合わさったひとまとまりのことなのです。
それぞれに役割があるので、その影響を知ることで正しいインチアップを行うことができるでしょう。まず、タイヤの扁平率を考えてみましょう。
これはホイールより外側のゴムの部分の断面幅と高さの事を言います。この部分の大きな役割はクッション性です。
道路状況の悪い道に入ったときでも、断面幅と高さがあれば、衝撃や揺れを吸収してくれます。
そのため、アウトドア向けの車はここが大きくなっています。一方、ホイールはデザイン性とブレーキ、そして車体の熱を逃がす役割を担っているのです。
インチアップで燃費が変わる理由とは?
インチアップの目的の多くがデザイン性の向上にあると説明しましたが、どうせならば燃費の方も良くしたいものです。
可能になればまさに一石二鳥といったところでしょう。
ただ、残念ながら一般的なインチアップでは、燃費の性能はむしろ下がってしまう傾向にあります。
断面の高さが低くなると、クッション性が悪くなると説明しましたが、つまり道路環境の様々な抵抗を受けやすくなるという意味です。
速やかな走行に影響がでるので、普通は燃費が落ちてしまいます。
しかし、インチアップはコーナリングやブレーキングの機能を上げる役割も担います。
環境の抵抗よりも運転性の効率の良さが上回った場合は、燃費の向上も期待できます。ドライビングテクニックに委ねられると言っても良いでしょう。
インチアップのメリットは?
インチアップのメリットをもう一度まとめると、まずはデザイン性の向上です。
個性を高めて、颯爽と走る車の印象を高めることができます。
次に、運転性の向上です。ホイールの幅が大きくなると、ハンドルさばきの伝わりやすさがアップします。
よって、コーナリングなどはコンパクトに回ることができますし、走行にクイック性を求めることができるのです。
スポーツタイプの車にはメリットが大きいと言えるでしょう。
また、ブレーキの空気圧を向上させることができるので、峠道などの走行で頻繁にカーブやブレーキ、アクセルなどを駆使する環境ではインチアップの効果が発揮されます。
運転に自信がある人は、インチアップにチャレンジしてみるのも良いかもしれません。
インチアップのデメリットは?
ホイールを太くしてタイヤを太くすると、それに比例して重量も重いです。
そうなることにより設置面積も広くなるのでハンドルが重くなるのも事実です。街乗りなどで頻繁にハンドルを切るような場所では、面倒な一面もあります。
またタイヤ自体のクッション性が悪くなるため、乗り心地が悪くなることもあります。
路面の影響を受けやすくなるので、座面にはクッションを敷いておく方が安心です。
その他にもタイヤが太くなることにより、転がり抵抗が増えそれによって燃費が悪いです。
転がりが悪いものを使っていればその分のエネルギーが必要になるのは当然で、燃費も下がってしまうので注意が必要です。
このようなデメリットを把握したうえで、インチアップを行いましょう。
インチアップの目安は?
ホイールなどのインチアップをする際にはこれといった決まりはありませんが、目安としては車体とのバランスを見て決めることが重要です。
バランスが悪くなってしまうと見た目も良くなく、せっかく変えてしまってもちぐはぐな感じを与えます。
インチアップする際には見た目を良くしたいという場合が多いので、どのくらい大きくしたら見栄えが良くなるのか想像したりして行うのが大事です。
場合によってはでかくすると見た目が悪くなることもあり、逆に小さくして落ち着きを出すようにする場合もあります。
大きくするだけが方法ではないので、小さくすることも頭の片隅にいれておきましょう。
そうすることで、車をより格好良くすることができます。
インチアップの注意点
インチアップではただ大きくすればいいというわけでなく、注意しないといけない点もあります。
まず外径が変わらないようにすることが大事で、これが変わってしまうと車体へ接触したりスピードメーターの誤差にかかわってくるので注意が必要です。
装着時には問題がないと思っても、実際に運転してハンドルを切ったときにタイヤの内側や外側が車体に触れてしまうことがあります。
そうなってしまうと車体やタイヤを破損する可能性があるので、ただ装着するのでなく走行する前にハンドルを切ってみることが大事です。
またタイヤは大きさごとに、支えられる重さが決まっています。そのため標準での負荷能力以下にならないように、十分な耐荷重があるものを選ばなければいけません。
インチアップタイヤの選び方
インチアップする際には、まず現在履いているタイヤの外径を調べます。
その際にはタイヤメーカーのカタログを調べると、確実で安心です。
そして外径がほぼ同じものを選ぶことが大事で、こちらもカタログで調べるのが簡単です。
それから負荷能力が、同等以上か調べます。
負荷能力が同等未満の場合には、走行するとタイヤの損傷に繋がるため必ず確認しておかなければいけないものです。
その後装着するタイヤが車体からはみ出ないか確認をし、同様に車体に干渉しないかも確認します。
車体からはみ出てしまうと走行中危険なだけでなく、法律的にも違反します。
このようなことがあるのでインチアップをする際には、しっかりと確認することが大切です。
インチアップ時のタイヤの空気圧について
同じタイヤの大きさであっても、スタンダード規格かエクストラロード規格かによって負荷能力が違い空気圧も違ってきます。
そうなると適正空気圧も違ってくるため、規格に合った分だけ充填する必要があります。
タイヤが扁平になると入る空気の量が減ると、支えられる重量も少なくなるので注意が必要です。
そのため通常の物よりも多く空気を入れることにより、空気圧を高めて荷重重量を多くする必要があります。
エクストラロード規格はそのようなものに耐えられるように、作られています。
車体に記載されている圧は、新車装着時に対するものです。
新しく買い替えた場合などは規格が違っていたりするので、その点もよく確認して空気を入れるようにしましょう。